同監督(塚本晋也)の「鉄男」を観た時は、衝撃的だった。
文字通り硬質で視覚、聴覚、触覚にビンビンと訴えかける映画だった。
それでいて、最後のオチ部分での脱力感も好きだった。
「鉄男2」は、オチがあんまり冴えなかった。
そしてこの「バレットバレエ」。検索にかけると監督自身がオヤジ狩り
に遭った体験が元らしい。

ナゾの死を遂げた恋人の死因の凶器である拳銃を探し求め、
不良グループ同士の抗争に巻き込まれていくオヤジ(できるサラリーマン)。
「てめえらみたいな奴らには、彼女が死んだ理由などわかりっこねえ!」
とオヤジに不良が叫んだり、「うん、オレ、ちゃんと就職するよ」とサラリと
答えたりなどドライな表面と渇きの中で求めるココロとの間で揺らぐコドモ。
私は、年のせいだろうか?ちょっとそういう設定がヤボったくなっている。
社会問題を取り入れたようなストーリーがダルくなってきている。
もっとも撮影された時期と観た時期がかなりズレてるのもあるけれど。
拳銃、皮、ハンマー音などハードな触感を残しつつも最終的に
程良く温もったまとまり感がいただけない。特に期待して観ただけに。
どうせ温まるならとことん温室の方が良かった。
否、平たく言えば温室の中に一輪、毒花が咲いてるとかかな?

皮に身を纏い、怜悧で渇いていて憂いた雰囲気もありつつ無邪気な少女を
演じる女優(真野きりな)は、ホントによく似合って素敵だったけれど。

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