吉田秋生の作品は、「吉祥天女」と短編を読んだくらいで
有名な「バナナフィッシュ」は、読んだことがナイ。
絵が殺伐としていて、10代の頃には読めなかった絵。
大友克洋などのコンクリのひび割れ系の絵だ。
この「カリフォルニア〜」も初めてで感想は「カリフォルニア」に
行ってみたいな、ということ。
舞台はニューヨークなので実はあんまりカリフォルニアは出てこない。
私はかなりの世情音痴。更にアメリカというとこは「明るい、広い、
ストレート、仰々しい」などの印象があってどうもヨーロッパ的なもの
に憧れがちの私は好きになれる感じではなかった。
それがここ数年だろうか?ヒップホップやソウル、レゲエなどをちょっと聴き
かじるようになり、アメリカ的なものを受け入れられるようになった。
そうして映画「真夜中のカーボーイ」を見た。この映画は相当自分に響いた。
私もそうだけど主人公の「青い空 椰子の木 オレンジ」というイメージ。
ロスとかてんで頭にナイ。カリフォルニアに行けば何とかなるという想い。
私の場合は安易に逃避がちなだけでそこに極貧だとか差別問題はないのだけど
何となく重ね合わせてみたりもする。またベタなイメージの映像も良かったのだ。
で、後で巻末の吉田氏のインタビューを読むとこの映画について語られていた。
この主人公にあたるのがイーヴという少年。
このマンガの主人公はヒースという逆にカリフォルニアから「エリート家庭に
生まれた苦悩」から逃げてニューヨークに向かう。
そこでヒースとイーヴが出会い、出会うことによってまた種々の葛藤に悩み、
揉まれていく。そのヒースが揉まれて成長して、という流れではなく、
最終的にはそれは読者のそれぞれに任せてあるのだけど。

舞台がどこであれ、彼女の作風には似た韻律が流れる。
その家に生まれてきた苦しみ、女・男などの性を持つ苦しみ、血の苦しみ
など逃れられない宿命にとらわれる苦しみ。
これは結構誰にでも問題を置き換えれば不可避な苦しみなので
わかりすいし、共感を持ちやすいと思う。
そこできっと私を含む読者は、そういう宿命だけど私の場合はこうする、こうした
と考えるのが楽しかったりする。
もっとも私は悩む年齢を超えてから読んでいるので振り返る楽しみぐらいなもんだけど
真っ直中にいた時なら一つの方法として読むんだろうか?

それにしてもママス&パパスのアレ(カリフォルニアの歌)は一体、
どんなことを歌っているんだろう?
どうにも希望に満ちあふれた歌には聞こえないが。

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