直木賞受賞作家らしくて「GO」という作品は、映画化されるらしい。
そんなことも知らず表紙のイラストが私に
訴えてきたので読んだのが表題。

主人公は、三流高校に通っている平凡な男子。
「ザ・ゾンビーズ」と名付けられた集団に入っている。
餃子大好き!ゾンビーズのみんなは、何故か一様に「携帯・巨人軍・カラオケ・シブヤ系」
を嫌悪する。
そんな彼らの高校には誰も近寄らない。
女も来ない。というワケで近所のお嬢様高校を
年に一度の文化祭時に
あの手、この手を使っての襲撃を試みる。
が、ことごとく破られる。
それもそのハズで「ええじゃないか作戦」と名付けられた
襲撃では「ええじゃないか、ええじゃないか」
と歌い踊りながら高校の門扉を打ち破る、とか。

主に5人の男子生徒が主体になっている青春グラフィティ小説。
誰もが学校という小社会に反感を抱きながらも
高校に入学し、少し整理できるようになる年頃。
もっとも登場人物は少し社会的ハンディがあったりする。
その狭間の揺れの中で淘汰されて大人になるだろうけど。
そんな中で「レヴォリューション」と小さくはあるけど
襲撃に代替されるようなレジスタンスを起こそうとする。
中でも金城自身なのだろうか?在日韓国人の舜臣は、
「僕はこの国で何不自由なく暮らしてきた。だから
チョーセンと言われても我慢ができる。
が、チョーセンカエレだけは許せない。
それは強制連行された祖父を非難する言葉だから」
という一文がある。
在日韓国人の友人のことを思いだした。
特に今まで差別を受けなかったらしいが彼女は
韓国の人の元に嫁いだ。
聞くところによると逆に日本で育ったということで
相手の親戚なんかから間接的なイジメがあったらしい。
今は、日本に帰って一人で二人の子を育てて働いているのだけど外国人なのでイチイチがややこしいらしい。
これでは、帰るところがないじゃないか!と思う。

この小説は荒立てて拳を挙げる小説ではなく、苦みや甘みのある青春モノだと思う。
しかしラストの「異教徒たちの踊り」の章で
「何があっても踊り続けろ!」という部分に非常に
喚起させられるものがある。
止まっていてはいけない、足を踏み出してとにかく
ソウルの跳ねるままに踊らなくてはと思う。
読後、流れるメロディはもちろんザ・ビートルズ。

「フィーフャッハ、レヴォリューション」

でも「フィーフャッハ」の部分が何言ってるのかわからないんだけど。



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